Archiforum 2022

回復の時代

第1回:6月18日    生産の回復|西村周治、野崎将太、吉永規夫

第2回:7月9日    風景の回復|周防貴之、新森雄大、服部大祐

第3回:8月6日    公共性の回復|岩瀬諒子、金野千恵、西倉美祝

※全6回を予定。

はじめに


アーキフォーラムは1980年代に大阪の建築書店柳々堂によって実施された勉強会(同人誌出版)を出発点とし、2000年以降は毎年テーマを設定して開催される連続レクチャーとして有志によって運営され、関西圏における建築界の発展、交流に寄与してきました。近年は開催が途絶えていましたが、コロナ禍を経て新たなスタートを切ることになりました。時代の中で姿や形を変えてきたアーキフォーラムらしく、今という時代に相応しいあり方を模索しつつ、関西圏における建築関係者の議論の場をつくり、関西発の新しい建築論の展開を目指します。

テーマ「回復の時代」に向けて


新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、それまでの社会や日常、コミュニケーションのあり方に大きな変更を強いるものでした。対面でのコミュニケーションが制限され、オンライン上での交流やアクセスの可能性が飛躍的に高まったことで、場所に囚われない働き方や学び方は居住地の選択肢を広げ、これまでにない出会いや機会を提供しました。その一方、地理的には近しい人々との関係性を育む機会は減り、地域内での議論や取り組みを発生させる場が失われてきました。ポスト・コロナに向けた動きの中で、綻んでしまった地域内の交流や議論をいかに回復することができるか。建築系の学部や学科の新設や、近年に関西を拠点として設計活動を始めた方など、関西内の新たな動向も踏まえたネットワークの回復、再構築が必要だと考えています。


このように回復は、まず持ってコロナ禍からの回復であり、さらにはこの数十年間日本社会に起こっているネガティブな変化に対して、これから先の未来にポジティブな状況をつくっていくためのアクションです。もちろん、それらは状況論や受動的な立場にとどまるものではなく、現在の建築そのものを考えるための補助線として、さまざまな可能性を持っています。


悪い部分を取り除く、弱い部分を補う、途切れていたものをつなぎ直す、忘れていたものを思い出す、硬直していたものを解きほぐす、できなかったことができるようになる。完全に治ったことを意味する快復ではなく、全く元通りになる再生や、衰えたものが以前の勢いを取り戻す復興とも異なる、どうにか良い方向に進んでいく、その過程(プロセス)として回復を捉えること。回復のための方法論はまだ確立されておらず、これまでの建築をめぐる取り組みの延長線上にありながら、しかしこれまでとは別の、さまざまな試行錯誤があるはずです。


アーキフォーラムという関西の建築を語る上では欠かせない議論の場の回復(カムバック)をぜひ皆さんと共に迎え、回復の時代における建築について考えていきましょう。

(コーディネーター一同)

2022年度コーディネーター


設計、構造、マネジメント、リサーチなど異なる専門性を持った4人がコーディネーターを務めます。建築の可能性を論じつつも、既存の建築論、作家論の枠を拡張するような議論を目指します。

 

荒木美香(構造家)

1984年神奈川県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。同大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。荒木美香構造設計事務所代表、関西学院大学建築学部准教授。建築物などの構造設計・監理のほか、建築構法や形態創生手法の研究・開発に取り組む。

 

川勝真一(建築リサーチャー)

1983年兵庫県生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業。同大学院工芸科学研究科博士後期課程単位取得退学。建築に関する展覧会のキュレーションや出版、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じ、 建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。


橋本健史(建築家)

1984年兵庫県生まれ。国立明石工業高等専門学校卒業、横浜国立大学卒業、横浜国立大学大学院Y-GSA修了。橋本健史建築設計事務所代表(神戸)、403architecture [dajiba]共同主宰(浜松)。建築、都市、文化財、地域に関わる設計・計画・研究のほか、神戸、大阪、京都、名古屋、東京など各地の大学で非常勤講師として教育活動に携わっている。

 

吉岡優一(コンストラクション・マネージャー)

1984年静岡県生まれ。日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社マネジメント・コンサルティング部門 兼 サステナビリティ推進室ディレクター。発注者支援(CM)を専門としながら、大学院でのデザインリサーチ経験をもとに、事業主の視点に寄り添ったライフサイクルマネジメント(中長期修繕計画立案等)、BIM-FM導入支援をおこなっている。


 

1

生産の回復

日程:618日(土) 14:00~17:00

会場:上町荘(大阪市中央区上本町西4丁目)

参加費:1000

定員:30

申し込みhttps://archiforum2022.peatix.com

ゲスト

どこから材料を持ってきて、どういった人々が、どのようにしてつくることができるのか。あるいはつくることと壊すことに、本質的な違いや決定的な共通点はあるのだろうか。関西屈指のラディカリストたちが、生産を巡るオルタナティブな方法論を提示し、その切実さに迫る。

西村周治(西村組)

1982年京都府生まれ、だれもが見向きもしないようなボロボロの廃屋を買いDIYで改修、完成したら引っ越しを繰り返す。最近では複数棟まとめて買い「村」にまで発展し、各所に村ができつつある。0円ハウス、廃屋祭壇バー、無料で出店できる喫茶フラワーなど運営。西村組 一級建築士事務所(建築施工集団、複数人のアーティスト達で構成)親方。合同会社 廃屋(廃屋を買って再生する不動産会社)代表社員。https://nishimura-gumi.net/about/

 

野崎将太(々)

1987年大阪府生まれ。内装から舞台や映画美術、芸術イベントの造作や設営まで、さまざまな作ることに携わる。建築集団 “々” を主宰。

https://www.instagram.com/nomaarchitecture

 

吉永規夫(Office for Environment Architecture)

1980年大阪府生まれ/2004年和歌山大学システム工学部環境システム学科卒業/2008年和歌山大学院修士課程修了(本多友常・平田隆行研究室)/2008〜11年本多環境・建築設計事務所/2011年和歌山大学大学院博士課程単位取得退学(2013年工学博士)/2011-路上で家を売るストリートアーキテクトとして活動/2012年Office for Environment Architecture設立/2015年〜オープンナガヤ大阪実行委員会/現在、摂南大学、大阪公立大学非常勤講師。https://ofea.jp


 

2

風景の回復

日程:79日(土) 14:00~17:00

会場:上町荘(大阪市中央区上本町西4丁目)

参加費:1000

定員:30

申し込みhttps://archiforum2022-2.peatix.com

ゲスト

風景は産業、技術、経済、法律、そして生活といった様々なコンテクストの織物としてあらわれる。自律と他律のはざまで決定される個別の建築が、どのような広がりを持てるのか。歴史から途切れ、関心から離れゆく風景に対して、批評的なアプローチはいかに可能かを議論する。

写真: エリイ

周防貴之(SUO)

建築家、SUO代表。2006年に慶應義塾大学大学院を修了後、妹島和世建築設計事務所・SANAAを経て、2015年にSUOを設立。建築設計を中心に、アーティストをはじめ、さまざまな作家との協働でアートプロジェクトや大型アートインスタレーション等の多数のプロジェクトを進めている。主な建築作品として、屋島山上交流拠点施設(2022, 香川県)、れいがん茶屋(2021, 香川県)、菊井邸(2019, 岡山県)、石原歯科医院(2018, 岡山県)、Chim↑Pom通り(2017, 東京都)、S-House Museum (2016~, 岡山県)などがある。

 

新森雄大(Niimori Jamison Architects)

1986年徳島県生まれ。滋賀県立大学大学院人間文化学研究科修了。スイス・イタリア大学大学院メンドリジオ建築アカデミー修了。2018年Niimori Jamison共同設立。

 

服部大祐(Schenk Hattori)

1985 横浜生まれ。2008 慶應義塾大学環境情報学部, 神奈川卒業。2012 Accademia di Architettura, Mendrisio(CH) – 修士課程修了。2014-Schenk Hattori, Antwerp(BE) / 京都 – 共同主宰。2014-21    University Antwerp(BE),University Ghent(BE),Academie van Bouwkunst Rotterdam(NL),慶應義塾大学 - 非常勤講師。2021-京都府立大学 - 非常勤講師


 

3

公共性の回復

日程:86日(土) 14:00~17:00

会場:上町荘(大阪市中央区上本町西4丁目)

参加費:1000

定員:30

申し込みhttps://archiforum2022-3.peatix.com

ゲスト

建築を建築たらしめる条件に、公共の問題は避けて通れない。資本主義がオーバードライブし、民主主義が揺るぎ、テクノロジーが環境をコントロールする時代に、公共性のあり方も急速に変化している。インフラ、ケア、経営などの視点から、建築を通して共にあることを再考する。

写真: Kanagawa Shingo

岩瀬諒子(建築家・京都大学助教)
1984年新潟県うまれ。京都大学大学院工学研究科修了。EM2N Architects、隈研吾建築都市設計事務所を経て、大阪府主催河川沿い広場の設計コンペにおける最優秀賞受賞を機に、岩瀬諒子設計事務所設立。当該作品を堤防のリノベーション「トコトコダンダン」として2017年に発表。建築空間、土木インフラやパブリックスペースのデザインまで、領域横断的に設計活動を行う。主な受賞に日本造園学会賞、グッドデザイン金賞、藝大美術エメラルド賞。2020年ヴェネチアビエンナーレ日本館の出展作家に選出。

 

金野千恵(t e c o株式会社 / 京都工芸繊維大学 特任准教授)

1981年神奈川県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了、博士(工学)。住宅、福祉施設、公共施設などを幅広い建築設計とともに、家具デザインやアートインスタレーション、まちづくりを手がけ、仕組みや制度を横断する空間づくりを試みている。主な作品:向陽ロッジアハウス(2011 東京建築士会住宅建築賞金賞ほか)、ヴェネチアビエンナーレ2016 日本館会場デザイン(2016 審査員特別表彰)、幼・老・食の堂(2017 SDレビュー鹿島賞)など。


 

西倉美祝(MACAP)

1988年生まれ。MACAP(=MA+CAP)代表。東京大学大学院修了後、坂茂建築設計を経て独立。

京都を拠点に建築設計(MA)をしつつ、商業空間の公共性についてのリサーチ・執筆活動(CAP)も展開し、建築視点の公共性論「オルタナティブ・パブリックネス(APness)論」を提唱。

SDレビュー2018入選のほか、雑誌「商店建築」にて連載「商業空間は公共性を持つか」を執筆(2020年~2022年)し、各商業空間をリサーチやヒアリングを実施。


 

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主催:アーキフォーラム実行委員会

協力:柳々堂

問い合わせ:archiforumosaka@gmail.com

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